船舶職員となるには、海技免状の交付を受けなければなりません。海技免状は、海技士国家試験(身体検査、学科試験(筆記試験および口述試験))に合格し、さらに国土交通大臣が指定する免許講習の課程を修了した者に与えられます。ただし、国土交通大臣が指定した登録船舶職員養成施設を修了した者には、海技士国家試験の学科試験のうち筆記試験が免除されます。
さらに、船橋当直に従事する船舶職員(三級海技士(航海)の免状を受ける学生が対象)となるためには、海技免状に加えて無線従事者の資格(第一級海上特殊無線技士または第三級海上無線通信士より上級の資格)を有しなければなりません。

(1)登録船舶職員養成施設

本学部では現在、 下表に示す2種類を登録しています。

登録船舶職員養成施設の指定
船舶職員養成施設の種類 登録を受けている本学部のコース・領域等
三級海技士(航海)第1種養成施設
海技ライセンスコース 航海学領域
乗船実習科(航海課程)
三級海技士(機関)第1種養成施設
海技ライセンスコース 機関学領域
乗船実習科(機関課程)

イ 試 験

海技士国家試験は、身体検査と学科試験(筆記試験及び口述試験)があり、船舶職員として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために行われます (船舶職員及び小型船舶操縦者法第13条)。学科試験では筆記試験に合格しなければ口述試験を受験できません。三級海技士第1種養成施設の指定を受けている本学部(乗船実習科を含む)を卒業し、海技免状の取得に必要な所定の科目・単位を修得すれば、三級海技士の筆記試験が免除され、身体検査及び口述試験のみを受験することとなります。


ロ 乗船履歴

海技士国家試験を受けようとする者は、受験に必要な乗船履歴を有しなければなりません。
乗船履歴は、本学部を卒業し、かつその学部課程において、試験科目に直接関係のある教科単位を修得しておれば、特例によって、独立行政法人海技教育機構または船社の練習船による実習の期間が1年でよいことになっています。ただし、「二級海技士、 一級海技士」の筆記試験のみを受験する場合は乗船履歴を必要としないので、学部在学中でも受験することができます。在学中に受験し、合格することを強く勧めます。


ハ 海技試験受験に必要な書類

受験申請時には、各種書類を運輸局(または運輸監理部)に提出することになります。必要な書類は、各運輸局、運輸監理部HPに記載されています。


(2)免許講習の課程

本学では、下表に示す免許講習を登録しています。

免許講習の指定
免許講習の種類 登録を受けている本学部のコース・領域
1.レーダー観測者講習
2.レーダー・自動衝突予防援助装置シミュレータ講習
3.救命講習
4.消火講習
5上級航海英語講習
海技ライセンスコース 航海学領域
1.機関救命講習
2.消火講習
3.上級機関英語講習
海技ライセンスコース 機関学領域

(3)ECDIS講習

ECDIS(Electric Chart Display and Information System : 電子海図情報表示装置)は、電子海図とともに船舶の位置、針路および速力などを表示する航海計器です。
ECDISの搭載が義務化された船舶に航海士として乗船するためには、国際条約に従って、国から指定された講習を受講する必要があります。

(4)無線従事者資格について

航海士・船長になるためには、「無線従事者免許」の取得が必要です。
乗船実習科に進学し練習船における無線関係の訓練を修了するには、『第一級海上特殊無線技士』または『第三級海上無線通信士』の国家試験に合格し免許証を取得していなければなりません。 (『第一級海上特殊無線技士』については外部機関で講習を受け、国家試験免除を受けることも可能です。)
これにより乗船実習科において6ヶ月の実習後、「船舶局無線従事者証明」により三級海技士(電子通信)の受験資格を取得することになります。
さらに三級海技士(航海)免状を取得すれば学科試験が免除され、「第三級海上無線通信士」の免許を取得していれば身体検査のみで三級海技士(電子通信)の海技免状を取得することができます。
なお、我が国の外航海運会社では『第三級海上無線通信士』の資格が必要とされることが多いので、在学中に受験し、合格することを強く勧めます。