玉野だより

No.26 引渡式

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海神丸が深江に入港した翌2022年3月23日、深江キャンパスにて引渡式が行われました。この式をもって、海神丸は造船所から神戸大学へ引き渡されました。海事科学研究科附属練習船として、2022年4月より本格的な運航が始まります。今後ともどうぞよろしくお願いします。

No.25 深江入港

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2022年3月22日、造船所の皆様に見送られながら午前、海神丸は玉野を出港しました。そして14時半ごろ、この深江のポンドに入港しました。入港時には、先日引き渡しを終えた深江丸も、対岸の岸壁から見守ってくれていました。


海神丸深江初入港(タイムラプス版)

海神丸深江初入港(通常版)

No.24 入魂式

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日本の船の多くには、神棚があります。海神丸にも船橋に神棚があります。2022年3月18日、入魂式が執り行われました。航海の安全を祈願し、神棚に精魂がつぎこまれました。海神丸の神棚には、香川県、金刀比羅宮のお札が祀られています。

No.23 記念植樹

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2022年3月17日、海神丸の建造を記念して、造船所、神戸大学合同で、記念植樹を行いました。海神丸も明日で完工となります。

No.22 完成検査

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2022年3月16日、海神丸の完成検査が行われました。完成検査では、船主(海神丸の場合は神戸大学ですね)と造船所で船内各所を回り、船主の注文通りに作られているか、くまなく確認します。海神丸も完工間近となりました。その姿を深江で見ることができる日ももうすぐです。

番外編2 ありがとう深江丸

2022年3月15日、今日深江丸がポンドから旅立っていきました。35年間、ほんとうにありがとうございました。ポンドから旅立った深江丸は、「第十蝶土里丸」と船名変更され、曳航準備のためポンドの向かいの岸壁に係留されました。

深江丸引き渡し

No.21 調査・観測機器公試

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海神丸には、海技士養成を行う練習船としての機能だけでなく、海洋調査・観測のための機器、設備も搭載されています。それら機器の試験航海のため、2022年2月22日~25日、3泊4日のスケジュールで航海に出ました。今回は、水深3000m以上の深い海域での試験も必要だったため、鳴門海峡を抜け、紀伊水道を南下し、太平洋にまで足をのばしました。北風が時折15m/s吹く中ではありましたが、海神丸は立派に走っていました。


海神丸鳴門海峡通峡の動画

No.20 海上公試

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2022年2月15日~18日、3泊4日のスケジュールで、海神丸の海上公試が実施されました。海上公試では、主機、スラスター、舵、発電機、甲板機械などなど、神戸大学が発注した通りのパフォーマンスを発揮しているか、異常なく作動しているかなどの試験を行います。また、全速前進状態から全速後進にすると、何mで停止するか、舵をいっぱいに切ると旋回径は何mになるかなど、船の操縦性能を測定します。速力試験では、最大船速13.11ノットを計測しました。


海神丸海上公試出港の動画

No.19 そしてまた、海へ

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ドライドック入渠中、外回りだけでなく、内部の工事も並行して行われています。両舷には救命いかだも取り付けられました。これで何か起こっても脱出ができます。そして2月4日、ドライドックに注水が開始され、再び海上に戻っていきました。お色直しも無事終わり、進水式当時の美しさを取り戻しました。これから仕上げに向けて本格化し、2週間後には、海上公試(海上での試運転、性能試験などを行います)が実施されます。

No.18 再び陸へ

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2022年1月27日、この日海神丸はドライドックに入渠し、水を抜き、再び陸に上がりました。10月の進水式以降約3か月の間海上にいた海神丸。船底に付着した汚れを落とし、船底、外舷のお色直しを行います。またその間に、船底や外舷まわりの最終検査が行われていきます。

No.17 デッキも青

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内装工事が進む中、甲板上の塗装も進められています。進水式の時、デッキはグレーで塗装されていましたが、あれは下地です。海神丸の外のデッキは青色で塗装されています。船底塗料同様、船体の白色に青色が映えて美しいです。

No.16 部屋ができてきましたよ

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内装工事がどんどん進み、部屋の姿が見えてきました。ここは学生居室ですね。4人部屋です。学生居室は4人部屋と8人部屋があります。電線含め全てむき出しだった空間が、どんどん部屋に変わっていっています。 (2022年1月)

番外編 深江丸最終運航

2021年11月4日、35年にわたって多くの人々を乗せ、運航を続けてきた深江丸の、最終運航が行われました。出入港の様子を撮影しました。特に入港に関しては、これが最後の入港となり、二度と深江丸が入港することはありません。この後深江丸は売船のための手続きが進められます。

深江丸最終運航の動画(タイムラプス版)
深江丸最終運航の動画(通常版)

No.15 ミキサー車襲来

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晴天のある日、海神丸のもとにミキサー車が次々とやってきました。そして、海神丸の船首部に、どんどんコンクリートが流し込まれていきます。いったい何が始まったのでしょうか・・・。皆さんご存知のとおり、船は水の上に浮かんでいます。そのため、積み荷や燃料、水の搭載状況によって、前後左右に傾いてしまいます。大型船では安全な航海のために、過度な傾きが生じないよう、バラスト水等を用いて、適切なバランスを維持しています。海神丸は小さい船なので、バラスト水のためのタンクは持っていません。その代わり、飲み水や生活用の水を使って、船のバランスを保ちます。しかし、海神丸の場合は、エンジンや、機器の搭載位置の関係上、どうやっても後ろに傾きすぎてしまいます。それを解消するために、船首部にコンクリートを入れているのです。これを固定バラストといいます。帆船の日本丸や海王丸にも用いられています。

No.14 まだまだこれから

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無事進水した海神丸。きれいに塗装されており、美しく仕上げてもらっています。しかし!中はというと・・・。壁がむき出しのところ、天井がむき出しのところ、部屋が区切られていないところ、電線が垂れ下がっているところ、まだまだ中身の工事はこれからといった状態です。深江にやってくる5か月の間に、内部の工事が進められます。

No.13 夢のツーショット

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進水式も終わり、岸壁に係留された海神丸。その横を走る見慣れた白い船が・・・。あ、あれは!深江丸じゃないですか!?実はこの進水式には、航海途中の深江丸も参列していました。深江丸と海神丸は並んで停泊する予定がなく、ツーショットを撮ることはできないと考えていました。これは最初で最後のツーショットかもしれません。深江丸は2021年11月4日まで運航を続けます。そして海神丸は2022年3月に深江にやってきます。深江丸はその日までに深江の地を離れる予定になっています。

No.12 命名・進水式

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2021年10月8日、季節外れに気温が高く、非常に良い天気の中、命名・進水式当日を迎えました。初めに命名式が執り行われ、神戸大学 藤澤 正人学長より「海神丸」と命名されました。
引き続いて進水式が執り行われました。支鋼切断は神戸大学海事科学部グローバル輸送科学科航海マネジメントコース4年 遠藤奈央さん、同マリンエンジニアリング学科機関マネジメントコースの安留未紗さんが行いました。支鋼とは、文字通り船が離れていかないように支えているロープのことを言います。この支鋼を切断することにより、船は海へ進水していきます。支鋼を切断する銀の斧は、進水式のために船ごとに作られます。進水式終了後は、記念品として各船主に贈呈されます。支鋼切断とともに、船首ではシャンパンの瓶が割られました。このシャンパンの瓶を割る風習、起源はバイキングのころ。当時は進水式の時に奴隷を生贄に捧げていたそうです。起源をたどると昔はそんなことをしていたんですね。やがて生贄が血を連想させる赤ワインに代わり、赤ワイン→白ワイン→シャンパンとなったそうです。
命名・進水式の様子は、動画でもご紹介したいと思います。
2021年4月から始まった海神丸の建造、半年が経ち、無事進水するに至りました。しかし!まだまだ作業は残っています。外から見ると立派に出来上がっていますが、中はまだまだむき出しの鉄板だらけです。この後、船内の配線や塗装、内張などの作業がめきめき行われていきます。


海神丸命名・進水式の動画 (動画提供:三菱重工マリタイムシステムズ株式会社)

No.11 進水式当日、未明の作業

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2021年10月8日、進水式当日、時刻は午前1時を過ぎたところ。ん?海神丸の船台でなにやら作業が行われています。こんな時間にいったい何をやっているのでしょうか。足元を見てみると、み、水が入ってきている!?そうです。船台への注水作業が開始されました。それにしてもどうしてこんな時間に・・・。この日の玉野の干潮時刻は午前5時ごろ。この干潮時に合わせて注水を開始しています。ゲートも開かれ、いよいよ進水式です!!

No.10 船名と母港

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外板の塗装もだいぶ進んできました。船の船底といえば赤色をイメージする方が多いのではないでしょうか。深江丸も赤色でした。海神丸の船底は美しいブルーです。白と青のコントラストがなんとも美しいですね。
さて、船尾を見てみると、船名と母港などの塗装が終わっていました。この海神丸の字については、当時の萩生田文部科学大臣に揮毫(きごう)いただきました。
明日はいよいよ進水式です。海神丸が海原へ。

No.9 ファンネル!

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ハウスの取り付けも終わり、残りのパーツもどんどん運ばれてきました。まず取り付けられたのはファンネルです。ん?ファンネル?ファンネルとは船の煙突のことです。このファンネルにはファンネルマークといって、各船の所属がわかるようなデザインが施されていることが多いです。海神丸のファンネルには、神戸大学のロゴが描かれています。前部、後部、2本のマストも取り付けられ、海神丸の形がほぼ完成しました。外板の塗装作業もだいぶ進んできているようです。塗装は錆止め塗装など下地から、何度も塗り重ねられていきます。

No.8 ハウス取り付け

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さあ主機も搭載しましたが、なんだかデッキ上が殺風景ですね。そうなんです。船橋や居住区域のある、ハウスがまだ取り付けられていません。ハウスはまた別の場所で組み立てられ、塗装も行われています。(写真中段)このハウスを先ほどのデッキ上に乗せれば・・・。おお!これで本格的に海神丸の全貌が明らかになりましたね。進水式まで1か月を切りました。この後は、マストの取り付けや外板塗装が行われていきます。内装工事は進水後でも実施できるので、外側の工事がどんどん進められていきます。

No.7 主機来る

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海神丸の甲板上に大きな穴が開いています。いったい何の穴なんでしょうか。この穴の下はちょうど機関室にあたります。実はこの穴から主機(メインエンジン)を積み込みます。主機はまた別の工場で組み立て、完成したものが運ばれてきます。そしてこの穴から積み込みを行い、取り付けて、最後に穴をふさぎます。2枚目の写真が海神丸の主機です。周りに人がいるのでその大きさがわかると思います。どうでしょうか。全長約60mの船を動かすエンジン、大きく感じますか。小さく感じますか。当然船が大きくなるとエンジンも大きくなります。300mクラスの大型船のエンジンは、ちょっとしたビルくらいあります。それを思うと、小さいエンジンかもしれませんね。

No.6 海神丸、その全貌が明らかに?!

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前回ご紹介した船台の脇にて、いよいよ海神丸の各ブロックを合体していく作業が始まりました。初めは鉄板だったものを、組み上げ組み上げ、合体に合体を重ね、どんどん大きなブロックにしていっていました。そして、大きくなったそのブロックたちがこの船台に運ばれてきます。それぞれのブロックは、造船所の皆さんの手により、どんどん溶接されていきます。いやぁ~しかし、こんな大きなものも溶接してしまうなんて、造船所の溶接技術はすごいですね。

そして船首部も運ばれてきました。ばらばらに作り上げていた各ブロックが合体し、海神丸の全貌が今、明らかになりました!といってもまだ上部のハウスなどはついていませんが。深江丸より全長は約10m長く、幅は約1m大きくなっています。なんだかそれ以上に大きくなっているように感じますね。進水も近くなってきました。作業もどんどん進んでいきます。

No.5 いざ、船台へ

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着々と作業が進んでいます。ここでもう気付かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。「船って、水に浮かんでるよねぇ・・・。陸上で組み立てて大丈夫なの?」確かにそうですよね。どうするのでしょうか。

自動車や電車、飛行機などと違い、船は非常にサイズが大きく、重く、そして最終的には水に浮かべないといけません。完全に組み上げてしまうと、そう簡単に移送できなくなってしまいます。そこで、ある程度のパーツが組み上がったら、最終的な組み上げを、船台にて行います。進水式の動画がお好きな方はご覧になったことがあるのではないでしょうか。海に向かって船が滑りおりていく、あれです。写真のように船台には傾斜がつけられており、傾斜の先にゲートがあります。ゲートの向こう側は海です。この船台で最終的に船を組み上げて、完成すればゲートを開け、滑り台のように斜面を滑らせて船を水に浮かべるということをしています。通常はセンターにあるレール(のようなもの)を利用するのですが、海神丸はこの造船所で作る船の中では小さい船なので、そこは使わずに、その脇で組み立てを行います。


※補足:タンカーやコンテナ船などは大型化が進み、重量があまりにも大きくなったので、従来のように船台で滑りおろすと大変なことになります。なので、そういった船は船台ではなく、ドックという場所で組み立てを行います。そして完成すれば、そのドックに注水をすることにより、船を水に浮かべています。

No.4 ブロックが大きくなってきました

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小さなブロックで始まった海神丸も、そのブロックが合体を繰り返し、段々と大きなブロックが出来上がってきました。上下逆さまに作られていたブロックたちも正転し、それまでは、いったいどこの部分かわからなかった各ブロックも、どんどん船の形に変わっていきます。さあもう少しで、海神丸の全景が明らかになりそうです。しかし、あのただの鉄板たちが本当に船になっていくんですね。

No.3 建造監督の業務

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造船所の皆さんの手により、海神丸は着々と建造が進められています。おや、その様子を何やら注意深く見ている人がいますね。こちらは神戸大学の建造監督です。海神丸建造全体の進捗状況の確認や作業状況の確認を行っています。その他にも、溶接箇所の検査の立ち合いや、各タンクの気密試験、水密試験、などなど、造船所の方とともに確認をしていきます。確認箇所によっては、運航開始後ではなかなか確認が難しい箇所もたくさんあり、建造段階の検査が非常に重要になってきます。現船の深江丸は34年運航しています。海神丸もこの先何十年、船員を目指す学生や研究者など、多くの人を乗せて安全に航海できるよう、一丸となって建造が進められています。

No.2 ブロック建造、まさにプラモデルのよう

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さあ、鉄板たちの組み立てが始まったようです。昨今の船のほとんどは、ブロック建造という方式で建造されています。これは、ブロック単位で組み立てを進めていき、最終的には各ブロックを合体させて、一つの大きな船にしていきます。この建造方式はプラモデルに例えられることが多いです。プラモデルも腕や脚、胴体、頭、手などそれぞれのパーツを組み上げて、最終的にすべてのパーツを合体させて一つの作品を作りますよね。そのプラモデルの1/1スケールですね。


各ブロックは、天井部の溶接などが行いやすいよう、上下逆さまに作られるものが多いです。初めは細かな部分から組み上げていきますが、最終的には大きな船に仕上がります。

No.1 建造の始まり

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2021年4月、岡山県玉野市で、運航34年を迎える練習船「深江丸」に代わる新練習船、「海神丸」の建造が始まった。


ん?なにやらたくさん鉄板が置かれていますねぇ。実はこの鉄板、すべて海神丸のパーツなんです!それぞれの形に切り出されたこの鉄板を組み合わせ、最終的には全長約60m、幅約11mの海神丸が完成します。ん~、この鉄板を見ていると、本当に船が出来上がるのか、にわかには信じがたい話です。今後この鉄板たちはどうなっていくのでしょうか・・・。

No.0 起工式

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2021年2月19日、岡山県玉野にて練習船海神丸の起工式が執り行われました。建造工事の安全が祈願されました。海神丸はこの後玉野にて建造が進められ、2022年3月に深江のポンドにやってくる予定です。そして2022年4月より運航が開始されます。